1918年 開道50年記念事業 ②
開拓の成果が総結集 全道全国から2万6000点
前回は「開道50年記念北海道博覧会」の概要をご紹介しました。万博を超えるスケールに驚きましたが、パビリオンの中はどうになっているかご紹介しましょう。道内各地の名産を中心に全国から2万6000点もの展示品が並べられました。精巧なジオラマが来館者を惹きつけました
■「拓殖・教育・衛生館」
来場者が最初に訪れるパビリオンで、1階が拓殖館、2階に教育館、衛生館が同居していました。拓殖館は「拓殖植民の事業に関する一切の資料料を収集して展覧せしむる」もので、50年の開拓の歴史を振り返るものとなっています。
拓殖・教育・衛生館
明治3年、黒田清隆がアイヌの案内で本道視察を行った場面を再現しています
北海道の立体地図があります
イメージキャラクター「拓殖女神」の立体造形です
植民地中期時代模型 開拓の進捗を段階的に立体ジオラマで示しています
「教育館」は出品点数1200点。北海道帝国大学はじめ、小樽高等商業、旧制中学などが出展しました。
小樽高等商業(現小樽商科大学)の出展
「衛生館」は「生理、疾病、保健、薬品、器具機械に関するものその他1400点」が展示されました。衛生意識を向上させる目的があったようです。
日本赤十字の出展
■農業本館
本道の主要農産品1万690点が集められました。北国対応する作物の品種改良が進められていた時代で、各作物の品種改良の様子が実物標本で丹念に示されました。
農業本館
5町歩農業経営模型
穀類標本
■農業別館
農具、農業機械、酪農・畜産に関わるものが集められました。
農業別館
農具展示
■園芸館
野菜や果樹などの園芸作物に関するパビリオンです。
園芸館
果樹蔬菜展示
水産館
農業本館と並ぶ、博覧会のメインパビリオンです。漁業、水産に関わるものが3159点集められました。
水産館
昆布と魚肥料
鰊漁場模型
漁業現況
■林業鉱業館
ひとつの建物に「林業館」と「鉱業館」が同居しています。面積は約200坪でした。
林業鉱業館
森林状況ジオラマ
「林業館」は、木材標本、建築用用材、下駄などの木材加工品の他、椎茸、毛皮など山で産する品々約832点が集められました。
木材標本と製作品
「鉱業館」は、石炭を中心に金、銀、銅、鉄、鉛、亜鉛など本道の鉱業を紹介するもので、150点の出品がありました。
住友工業所・高田工業会社出展
夕張鉱山立体模型
■参考館
全国各府県から美術品、商工品を集めたパビリオン。「道内生産品と比較対照し優劣を判し、その間の長を採り短を補う」目的だったそうです。「第1参考館」と「第2参考館」がありました。両館あわせて9400点の出品がありました。
第一参考館
東北各県出品
台湾総督府出品
土木交通館
土木と交通のパビリオンで「土木事業及び通信運輸の施設関する各種実物、模型でその変遷と現況を示す」ものです。約200点展示。豊富にジオラマが展開されました。
土木交通館
室蘭築港模型
機械館
「北海道工業界の象徴にしてその出品は本道機械工業の現在を語れり」というパビリオン。大半の出品は各社からの持ち込みでした。
機械館
電気機械器具と船具類
■農業改良住宅
模範的な農業住宅を提案するものです。懸賞募集した基本設計に基づき、道庁土木部が建築しました。懸賞金と設計建築に関わる費用は、大正6年に亡くなった元札幌地方裁判所書記・斉藤仙吾氏の遺言と寄付金に拠ったそうです。本道では北方型住宅の長い取り組みが続いていますが、その原点として貴重な写真と思います。
農家改良住宅
【写真出典】
「開道五十年記念北海道写真帖」1918・開道五十年記念北海道博覧会協賛会
【参考文献】
「開道五十年記念北海道博覧会会場案内」1918