北海道の歴史・開拓の人と物語

北海道開拓倶楽部

デンマーク人ジャーナリスト八雲を訪ねる

 
 

7月25日、デンマークのジャーナリスト、クリステンセンさんの八雲取材をサポートしました。クリステンセンさんは、大正12(1923)年にデンマークから北海道に農業指導に渡った農家のことを本にする取材として来道。八雲の三澤牧場をご案内しました。そこには北海道史の秘話の宝庫でした。
 

 
北海道開拓倶楽部では、オホーツクにおける麦栽培の歴史を紹介した
「オホーツクの幻夢」の第3回として「北海道にデンマーク·ドイツの農家がやってきた」というタイトルで、ヨーロッパの農業を学ぶために大正12(1923)年にデンマークからエミール フェインガー、マーチン ラーセン ドイツからフリードリヒ コッホ ウイルヘルム グバロウ一の各氏を招き、5年に渡って札幌と十勝で農業を実演してもらったという歴史を紹介しました。
 
この歴史に注目したChristensenさんは、来年が来道100周年にあたることからこの歴史を本として書きあらわすための取材調査として来日しました。
 
ここ数年にわたってデンマーク農家の北海道渡航の歴史を調査していたChristensenさんの奥様が日本人であり、日本にいる奥様のご兄弟が「北海道開拓倶楽部」のことを奥様に教えたとのこと。5月下旬にお会いしたいとの連絡をいただきました。
 
話を伺うと、デンマークの農家を主人公とした本ではありますが、「オホーツクの幻夢」の第3回で取り上げたドイツ人のフリードリヒ コッホ一家に興味を持ったいいます。というのもコッホ一家の次女ヘルタさんは、北海道滞在中に知り合った日本人青年と結婚して北海道に残ったらからです。このことについて詳しく聞きたいとのでした.
 

昭和5年11月27日、豊平館で挙げた三澤正男さんとヘルタさんの結婚式(三澤家提供)

 
そこで当方は八雲町にご協力をいただき、ヘルタさんが結婚した三澤正男さんの長男である三澤道男さんをご紹介ただき、Christensenさんとの取材をセットしました。
 

 
三澤道男さんは昭和11(1936)年に三澤正男さんとヘルタさんの長男として音更町に生まれ、両親とともに昭和13(1938)年に八雲町に移りました。86歳ながら老いを少しも感じさせず、積極的に取材に応じてくださいました。
 

三澤道男さん

 
三澤道男さんは昭和29(1954)年の洞爺丸台風で父正男さんを失うと三澤農場を継ぎ、昭和58(1983)年からは北海道議会議員を2期務めています。北海道の戦後酪農会の生き字引ともいうべき方で、きわめつけの秘話を次々とお話しされました。
 

 
(例えば:八雲の三沢農場は次の1万円札になる渋沢栄一家の農場だったそうです。三澤正男さんが管理していましたが、戦後の農地解放で失うこととなり、管理人だった正男さんが譲り受けたそうです。あとであいさつに伺った八雲町長も知らない秘話でした)
 
ヨーロッパのジャーナリストも興味を持つ歴史ながら、北海道ではほとんど顧みられることがありません。「北海道開拓倶楽部」では、せっかくいただいた機会ですから、フリードリヒコッホ一家のこと、ヘルタさんのこと、三澤正男さんのこと、そして道男さんのことを深掘りして特集として連載します。こうご期待下さい。
 

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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